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石油汚染とバイオレメディエーション 微生物の力で石油で汚染された環境を浄化します

バイオレメディエーションとは何か?

バイオレメディエーションとは?│ 分解者としての微生物│ 古典的なバイオレメディエーション│ 有害物質を分解する微生物達│ バイオスティミュレーションとバイオオーグメンテーション│

分解者としての微生物

微生物とは?

【図1】ロドコッカス属細菌
Rhodococcus erythropolis

(NBRC 100887)
Rhodococcus erythropolis
 「微生物」とは、肉眼ではみることのできない、顕微鏡などを用いなければその姿を確認することのできない小さな生物のことです。細菌や菌類、原生生物の他に、小型の動・植物もこれに含まれます。それでは一体微生物はどこに存在し何をしているのでしょうか?

微生物はどこにいるか?

 微生物は、人間の目に付く場所ほとんど全てに存在しています。むしろ、微生物がいないような空間を目にすることは、大変難しいのでは無いでしょうか?
 肌や服や髪の毛など人間が普段直接触れている場所や、布団、机、カバン、携帯電話などの日用品、その他、床や壁、空気中など、我々が普段全く気付いていないだけで、人間の周りのありとあらゆる場所に、たくさんの微生物が存在しています。身近な体験としては、例えば、時間が経った飲食物が悪くなって食べられなくなったり、流しやお風呂場に黒いカビが生えたり、トゲが刺さった場所が化膿して膿んだりしたことはないでしょうか?これらは、皆さんの服や皮膚などの体に付着していた、もしくは、床、壁や空気中などに存在していた微生物が原因で起こる現象なのです。また、ヒトの体の中は、実は微生物で溢れかえっているのです。人間の体の細胞数が約60兆個であるのに対し、体内に住んでいる微生物の数は約100兆個にも及びます。
 自然界においては、土、森、動植物の体の中や表皮、川、湖沼、海、空気中など、あらゆる場所に微生物が生息しています。驚くべきことに、地面の奥深く地下5,000mの土壌中や、100℃を越える熱水の中、水深6,000mの海底、はたまた、地上から5,000mの遥か上空からも、微生物の存在が確認されています。また、我々人類には信じられないような場所にも微生物は存在しています。500気圧近い気圧下や、pH1以下の超酸性条件下からも微生物の存在が確認されています。微生物は、我々多細胞生物の生息可能な領域よりも遥かに広い範囲、過酷な環境で、生き続けることができるのです。

微生物はどのようにして生きているのか?

 我々人間は、食物や水分、酸素を材料に体の中で化学反応を行うことにより、生命を維持しています。それでは、微生物は一体何を行い、どのようにして生命活動を行っているのでしょうか?
微生物の細胞内でも我々人間と同様、細胞外から摂取した物質を材料に種々の化学反応が行われ、微生物の生命が維持されています。それぞれの種が、自らの生息する環境に合わせた化学反応の経路を開発・獲得し、生命活動を営んでいます。周りの環境、例えば、温度・pH・物質組成など、諸所の環境条件に合わせた化学変化の経路を持った個体のみが生き残ることができます。

微生物の分解者としての役割

 微生物は、地球の生態系にとって大変重要な働きを担っています。中でも「分解者」としての役割は、地球環境の維持にとって最も重要な事柄の一つではないでしょうか。

 生物の排泄物や遺骸などは、しばらくすると、その場からきれいに無くなってしまいます。例えば、植物や動物が死んだ場合、それらの遺骸は虫や菌類、細菌などによって処理され最終的には土に還ります。具体的には、死んだ生物の遺骸は、それを摂取した他の生物体の構成成分や二酸化炭素、水、土壌中の諸物質になります。このように、生物の遺骸や老廃物を栄養源として生きる生物のことを「分解者」と呼びます。分解者には、ミミズや昆虫など、肉眼で確認できる大きさの生物の他に、目に見えない微生物が含まれています。これらの働きで、有機物が最終的には二酸化炭素と無機物に変換され、生態系が保たれています。小型動物が大まかに分解したものを最終的に微生物が分解します。
 また、微生物は我々多細胞生物よりも遥かに分解できる物質の種類が多いのが特徴です。人間の科学力ではとても分解できないような物質があったとしても、その物質を地球の裏側に住んでいるある微生物がいとも簡単に分解してしまう、というようなケースが非常に多くあります。この理由として、「地球上には様々な種類の微生物が存在しており、それぞれが様々な物質の分解能力を持っている」こと、「微生物は他の生物に比べ、新たな化学反応経路の獲得が大変得意であること」などが考えられます。

バイオレメディエーションとは何か?

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バイオレメディエーションによる石油分解の基礎知識
プロローグ
石油の現状
  • 世界と日本の石油消費量
  • 石油の生産地とオイルロード
  • 世界の石油流出事故
石油とは何か?
  • 石油のなりたち
  • 石油の成分
  • 石油の毒性
石油流出事故 −流出石油の運命−
  • 石油の風化
  • 流出石油が環境に及ぼす影響
  • 流出石油の処理
  • 海岸のクリーンアップ
バイオレメディエーションとは何か?
  • バイオレメディエーションとは?
  • 分解者としての微生物
  • 古典的なバイオレメディエーション
  • 有害物質を分解する微生物達
  • バイオスティミュレーションとバイオオーグメンテーション
石油を分解する微生物
  • どんな微生物が石油を分解するか?
  • 好気的な石油の分解
  • (1)飽和炭化水素の分解
  • (2)芳香族炭化水素の分解
  • (3)レジン・アスファルテンの分解
  • 嫌気的な石油の分解
  • 微生物が作る界面活性剤
  • 流出油の分解実験
石油流出事故におけるバイオレメディエーション
  • エクソン・バルディーズ号事故の概要
  • バイオレメディエーション技術とその成果
  • その他の事例
  • 日本におけるバイオレメディエーション
  • 環境庁(当時)の実環境実験
バイオレメディエーションの現状と課題
  • バイオレメディエーション技術の現状
  • 有効性の評価
  • 安全性の評価
  • 油濁損害の補償
  • 規制(日本の場合)
  • 規制(アメリカの場合)
石油流出事故に対する対応
  • 石油流出事故に対処する組織
  • 環境脆弱性の調査
  • 石油流出事故に対する装備と訓練
インドネシア海域からの石油分解菌の分離とその解析
実施概要
石油分解菌の検出とその多様性
石油分解遺伝子の多様性
石油分解菌の特性の解明
石油分解菌を活性化する条件の検討
収集した菌株の提供
インドネシア海域におけるバイオレメディエーション実証実験
調査の目的・方法
調査結果
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