Aspergillus oryzae (麹菌)は、わが国の発酵産業界で最も広く利用されている糸状菌であり、酒、味噌、醤油等の製造に利用され、千年を超す利用の歴史から高い安全性をもつことが裏付けられており、「国菌」とも呼ばれています。麹菌は、各種の酵素を含むタンパク質の大量生産、特に大腸菌等の原核生物では生産が困難な真核生物のタンパク質生産の宿主として適しています。
麹菌の37メガベース(Mb)のゲノムには12,074個の遺伝子が含まれており、ゲノムの大きさをAspergillus nidulans 及びAspergillus fumigatus と比較すると7〜9Mb大きい菌です。3種のアスペルギルス属菌を比較すると、麹菌のゲノム全体にわたり、A.nidulans およびA.fumigatus とのシンテニーを持つ領域と麹菌に特異的な領域がモザイク状となって存在することが示されました。麹菌に特異的な塩基配列領域は代謝に関与する遺伝子に富み、特に二次代謝産物の合成に関与するものが多く存在します。分泌型の加水分解酵素、アミノ酸代謝およびアミノ酸または糖を取り込む輸送体の遺伝子が特異的に増強されていることは、麹菌が発酵にとって理想的な微生物であるという考えを裏付けています。

食品総合研究所 提供
(*) 生物遺伝資源部門(NBRC)ホームページ: http://www.nbrc.nite.go.jp/
|