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ポリウレタン分解

概要

ポリウレタン(polyurethane、PU)はウレタン結合(-NH・CO・O-)を有する重合体の総称である。
ウレタン結合はイソシアネート基と水酸基を有する化合物の縮合により生成される。
ポリウレタンはジイソシアネートとジオールモノマーを重合させて生成する。 原料となるポリオールにはエーテル系とエステル系が存在し、性質が異なる。
エーテル系PU は加水分解を起こさないため、耐水性に優れており、エステル系PU は機械的物性が高く、耐油性を持つ。

機能に関する知見

機能を示すメカニズム

ウレタン結合を分解する微生物と、ポリオールを分解する微生物が知られている。
これまでに発見されたポリウレタン分解菌の多くは、ポリオールに含まれるエステル結合を切断するタイプである。
ウレタン結合を含む化合物を分解する菌・酵素(ウレタナーゼ)はこれまでにも知られているが、ポリウレタン中のウレタン結合を分解できるものはほとんど報告がない。
ウレタナーゼ Uretanase (EC 3.5.1.75)
一般的にはウレタン(カルバミン酸エチル)を分解する酵素のことを指す。 カルバミン酸エチルは酒類を含む発酵食品に天然に存在する物質で、おそらく発がん性のある物質とされている。 ポリウレタンの構成成分ではない。

機能を持つことが知られている生物

  • Rhodococcus equi TB-60
    ポリウレタン中のウレタン結合を分解する菌。 論文あり (PMID: 16041575) だが、Uniprotに配列情報なし。 特開2006-055005(新規ウレタナーゼ遺伝子)に配列情報あり。 BLAST にかけたが、Uniprot 登録はなし。
  • Comamonas acidovorans (Delftia acidovorans) TB-35
    エステル系固体ポリウレタン分解菌。 PUR分解酵素(PudA Q9WX47)はエステラーゼ活性を持ち、ポリオール中のエステル結合を分解する。
  • Paenibacillus amylolyticus TB-13
    ポリ乳酸分解菌。固体PURを分解するが、酵素については不明。査読論文及びuniprot登録は見あたらなかった。
  • Pseudomonas chlororaphis
    PueA(A1Z374)がエステラーゼ活性を主に担う(PMID: 18045391)。 PueB(Q9R9H2)もエステラーゼ活性を持つが、主な機能は増殖率の向上。 ノックアウトした場合、PueAでは80%、PueBでは18%増殖率が低下。 ABC transporterを構成するクラスターの一部。

Rule/Function 作成に関する特記事項

ルール化できたのは Pseudomonas chlororaphis の PueA (NRULE_0250)及び PueB(NRULE_0251) のみ。

参考文献

  • Howard, G. T. (2011). Microbial biodegradation of Polyurethane (Chapter 7). Recent Developments in Polymer Recycling. 215-238.
  • Akutsu-Shigeno, Y. et al. (2006). Isolation of a bacterium that degrades urethane compounds and characterization of its urethane hydrolase. Appl Microbiol Biotechnol. 70(4):422-429. PMID: 16041575
  • Howard, G. T. et al. (2007). Effect of insertional mutations in the pueA and pueB genes encoding two polyurethanases in Pseudomonas chlororaphis contained within a gene cluster. J Appl Microbiol. 103(6):2074-2083. PMID: 18045391

関連外部リンク

MiFuPへのリンク

(更新日 2014/03/13)