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加水分解性タンニン分解

概要

タンナーゼとは、没食子酸とグルコースなどの糖がエステル結合した加水分解性タンニンを分解する酵素。
1960 年代頃、Aspergillus nigerAspergillus oryzae より同定された。 加水分解性タンニンを含むものの代表として緑茶葉があげられるが、含まれるタンニンとしてはエピガロカテキン、 エピガロカテキンガレートなどのカテキン類とその没食子酸エステル誘導体が知られている。 これらは苦みや渋味を示し、またお茶のにごりを生じさせる。 1970 年代頃より、食品工業においてタンナーゼは緑茶飲料のにごり改善等に使用されている。
Digallate + H2O <=> 2 Gallate
Digallate + H2O <=> 2 Gallate --KEGG REACTION: R00053
また近年、腸内細菌の一種である Lactobacillus plantarum ATCC 14917T より新しいタンナーゼ酵素 (TanLpl) が同定された。 カテキン類は強い抗酸化力を持ち、ヒトの健維持や疾病予防に有用なことが知られている。 エピガロカテキンガレートは食品成分(タンパク質等)と速やかに結合し難吸収性の塩となるが、エピガロカテキンは遊離型を維持する。 血清を用いた実験ではエピガロカテキンガレートの抗酸化能は顕著に減少するが、エピガロカテキンの抗酸化能は比較的安定であったという報告がある。 また L. plantarum 由来のタンナーゼはエピガロカテキンガレートをエピガロカテキンに分解することが明らかとなっている。 このことから、L. plantarum とカテキンによるプロバイオティクスへの期待が高まっている。
エピガロカテキンガレート
--KEGG compound: C09731 --KEGG compound: C12136 より改編
一方、進行した結腸がん患者の糞便中からはタンナーゼ生産するとされている Streptococcus lugdunensis 他遺伝子は特定されていないがタンナーゼ活性を持つバクテリアが、初期段階の癌、アデノーマの患者より優位に多く観察され、カテキンと癌との相関に関する研究も行われている。

機能に関する知見

Rule/Function 作成に関する特記事項

NFUNC_0255 は、バクテリアのタンナーゼに対するルールであり、Fungi (Aspergillus) のタンナーゼ候補を検索するものではありません。

参考文献

  • Curiel, J. A. et al. (2010). Hydrolysis of tannic acid catalyzed by immobilized-stabilized derivatives of Tannase from Lactobacillus plantarum. J Agric Food Chem. 58(10):6403-6409. PMID: 20438129
  • Rusniok, C. et al. (2010). Genome sequence of Streptococcus gallolyticus : insights into its adaptation to the bovine rumen and its ability to cause endocarditis. J Bacteriol. 192(8):2266-2276. PMID: 20139183
  • Iwamoto, K. et al. (2008). Identification and cloning of a gene encoding tannase (tannin acylhydrolase) from Lactobacillus plantarum ATCC 14917(T). Syst Appl Microbiol. 31(4):269-277. PMID: 18653299
  • 大澤 朗 (2011). 「タンナーゼ活性を有する乳酸菌を利用した新規プロバイオティクスの開発」 『腸内細菌学会雑誌』25(1):1-5.

関連外部リンク

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(更新日 2015/02/03)